劇団うりんこ
「おとうさんはウルトラマン」 9/6 15:00~ 新宿文化センター小ホール 劇団うりんこは 「だってだってのおばあさん」 「ともだちや」 「のはらひめ」など せたがやの例会でもお馴染みの名古屋の劇団です。 今挙げた作品に共通しているのは、原作があること。それも、子ども達に人気の絵本ばかりです。こういう作品を舞台化するのは勇気の要ることだと思います。だって原作が有名であればあるほど、人気が高ければ高いほど、読んだ人の中にイメージが作り上げられていて、演劇という具体的な形になった時、違和感どころか反感まで持たれかねないのですから。 それでもうりんこは果敢に舞台化し、その作品のかずかずは、おおむね好評だと思います。たぶん、例え原作とイメージが違っていようとも、“うりんこの演劇世界”というものが確立しているからでしょう、と、私は思うのです。 この「おとうさんはウルトラマン」も、原作は宮西達也の人気絵本です。原作を手に取ったことのある人は「へえ、どうしたらあれが芝居になるの?」と思うでしょう。が、見事うりんこ流のお芝居になっていました。 タロウのお父さんは本当にウルトラマンです。リビングの正面の大きなテレビ画面には、ウルトラマンが怪獣をやっつけているシーンが、ニュースとして中継で映っています。ママとタロウは声援を送ります「パパがんばって!」 3分間できちっとお仕事を終わらせて、しばらくするとお父さんが疲れ果てて帰ってきます。 家にいる時のお父さんはあまりかっこよくありません。だらしない姿でソファーでごろごろしていたりママに叱られたり。でも、一旦事件が起こると、ウルトラスーツをびしっと決めて、現場に出動。 遙か宇宙の彼方M78星雲から来るとばかり思っていたウルトラマンが、実は日本の都市近郊のマイホームに駐在していたのですね。おまけに、無口なヒーローには奥さんと男の子がいました…と、ウルトラマンを普通のお父さんとして描いているところは原作と同じ。 それをホームドラマとして展開させ、タロウと同じクラスにバルタン星人の息子バルオがいるという設定で、バルタン星人の父と子の物語が絡むなんていうあたりは、まさにうりんこ流なんだなと思います。 インパクトの強い色彩と線でぐいぐい絵本世界に引き込んでちょっとほろっとさせてくれる西宮達也の世界よりも、少しクタッとした感じはありますが、全体に肩の凝らない感じで、たくさん笑わせてくれます。 笑いの中で心に残ったのは父の愛と父への愛。無条件に子供を大切に思う気持ち。 そして尊敬とか感謝とかいう物差しでなく、お父さん大好きという気持ち。 その両方があれば無敵なんだというメッセージがビンビン伝わってきます。ウルトラマン世代もそうでない人も楽しく見終えて楽しく帰ってきました。
by kogeki_setagaya
| 2006-10-08 22:04
| いちごの日記
|
ファン申請 |
||